まとめ

 コンシステンシー限界における含水比w(%)と体積比 f(%) との関係から回帰式 f = 2.55w+100 が得られ,理論値に良く一致した。統一土質分類塑性図におけるA線はIP = 0.73 wL 14.6で与えられているが,これに対応するベントナイトのコンシステンシー特性線回帰式はIP = wL58 であった。この回帰式は塑性指数の定義すなわち IP = wL wP と同形であり,定数項58はベントナイトの統計的塑性限界と見なすことができる。ちなみに実験で得られたwP の有意水準1%の信頼区間は495358であった。A線の傾斜はtanθ=0.733で,Hogentoglerの研究ではカオリンで0.71,ベントナイトで1.0である。ベントナイト塑性図特性線:IP =1.01wL-57.8Hogentoglerの値は一致することが判る。

 

 相対的に高い収縮比を示すベントナイトの群(Aグループと呼称する)と低い収縮比を示す群(Bグループと呼称する)に分けることができ,それぞれ鉱物学的な明瞭な特徴を有し,含有遊離シリカとしてAグループは石英を,Bグループは微晶質α‐クリストバライトを伴っているベントナイトである。

 

クリストバライトは,写真-5.3に示すようにモンモリロナイトの微細構造の観察で,古くからその存在が明らかであったが,このおおよそ0.1μm以下の超微量のクリストバライトはモンモリロナイトと互いに作用しないと考えられ今日に至った。しかし,ベントナイトの液性限界と塑性指数は本質的に粒子径区分における1μm以下のコロイド分によって提供され,コロイド分はベントナイトの主鉱物であるモンモリロナイトだけでなく結晶子の微小なアモルファスに近いα‐クリストバライトの寄与も明らかになった。

 

 このような遊離シリカは1NNaOH熱溶液に可溶であって比色法により迅速定量ができ,処理時間ゼロにおける同シリカ濃度軸の切片を可溶性シリカ切片値としてベントナイトを性格付けすることができた。すなわちAグループに属するベントナイトの可溶性シリカ切片値はゼロ,Bグループのそれは約530 % (ベントナイト質量基準)の範囲であった。このようなα‐クリストバライトの存在は,収縮限界におけるベントナイト土粒子の集合構造の間隙を大きくすることに寄与しており,したがって収縮限界が相対的に高い。

 

液性限界の大きさに対するCECや浸出陽イオン種と量の効果は明瞭でなかったが液性限界が300%以上のベントナイトは陽イオン交換容量に対する浸出Na+.の当量比が50%以上であった。

 

ベントナイトの薬局方試験法による膨潤力と液性限界との間の単純な回帰直線は,両者間の換算の実用的なノモグラムとして利用できる。膨潤力試験で得られる測定値は試料土粒子を内包した体積であり,一方,液性限界の値は試料土粒子に対する水の質量比である。両者に体積比変化量の概念を導入して無次元化して解析した結果,膨潤力に寄与している水分量は,液性限界の塑性に寄与している水分量の2.28倍であり,加えて,膨潤力試験では,ベントナイトのような高塑性粘土からなる土粒子のドメインあるいはアグリゲート間に,コンシステンシー限界試験で得られる収縮限界の体積比に加算される13%のデッドスペースがあることが結論づけられた。

 

 液性限界(wL)と膨潤力(SP)について検証し,回帰式はSP = 0.02×0.92×2.28wL+2.1=

0.042wL + 2.1であった。左辺の比例係数は膨潤力では水分8%の試料2gが液性限界における試料の含水比の2.28倍の水を拘束することの係数であり,定数項2.1は試料2gの土粒子のカサ(見掛体積)である。

写真-5.3 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた山形産Kunigel V1 とNeo Kunibond の微細形態画像
写真-5.3 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた山形産Kunigel V1 とNeo Kunibond の微細形態画像

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