収縮比Rと収縮限界における体積比f0との関係

 収縮比Rと収縮限界における体積比f0との関係について考察した。Vs, V0, VLをそれぞれ土粒子の体積,収縮限界における体積,液性限界における体積,ρwを水の密度,mwは失われた水の質量,msは土粒子の質量とすれば式(5)が得られる。

 

 式(5)に基づき,100/f0に対して収縮比(R)をプロットしたのが5.8である。式(5)の比例定数項ρs /ρwは土粒子の比重であるから,GM/GCLベントナイトを除く18試料の密度平均値より比重2.56の座標(1, 2.56)と原点を結ぶ直線はベントナイト18試料のプロットの中央値座標(0.679, 1.736)を通る.そしてこの中央値より収縮比の小さい試料は遊離シリカとしてα-クリストバライトが顕著に検出されたベントナイトである。

 

一方,中央値より収縮比の大きい試料はα-クリストバライトがほとんど検出されず石英を含んだベントナイトである。またGM/GCLベントナイト2試料のプロットは共に直線から大きく乖離しており,特に収縮比が大きく,収縮限界における体積比が小さい(すなわち1/f0 が大きい)。この特徴はベントナイト粒子が水溶性有機高分子系接着剤で表面処理されたことによって緻密な粘土集合構造を形成するためであると考えられる。

(5)
(5)
図5.8 100/f0 に対して収縮比(R)をプロットした図
図5.8 100/f0 に対して収縮比(R)をプロットした図

 

 

(5)について,収縮比Rと収縮限界における体積比f0の関係をプロットすると5.9が得られた。5.9においてRの中央値とf0の中央値がそれぞれ破線で示してある。Aグループにプロットされた試料は遊離シリカとして石英が検出され,α-クリストバライトが検出されなかったベントナイトであり,相対的に収縮比が大きく収縮限界における体積比が小さい。特にGM/GCLベントナイトは収縮比が大で収縮限界の体積比が小さい特徴を有している。一方,Bグループにプロットされた試料は,いずれも遊離シリカとしてα-クリストバライトが顕著に検出された試料であり,相対的に収縮比が小さく収縮限界における体積比が大きいベントナイトである。先に示した5.6の体積比変化と含水比の関係図においても,回帰線の下方にプロットされた体積比変化の小さい試料が5.8Bグループに一致する。したがって5.65.8の結果からベントナイトに含まれている遊離シリカの多形がベントナイト塑性体の収縮挙動に顕著な影響を及ぼしていると考えられる。

図5.9 収縮比R と収縮限界における体積比f0 の関係
図5.9 収縮比R と収縮限界における体積比f0 の関係

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